少し遠くを見つめる日

a0071722_13431268.jpg 容赦ない陽射しにさらされる白い夏。湧き出る入道雲に蝉時雨。唐津市街地を離れ、呼子方面に向かうR204そばの小高い場所にあるカトリック教会墓地。自動車の騒音から逃れるように急勾配の坂道を歩いて上ると、誰もいない夏が広がっています。流れる汗を迎えてくれる風はなく、ふ〜っと大きな息をひとつ。

 お盆前の墓掃除。持参した白い軍手を手につけて、Tシャツの首周りをタオルで巻き、草をむしること約1時間。甲子園の高校球児のように、無心にかえり、そして決して手を休めることなく。額の汗がぽたりと落ちて、土に染み込む瞬間を目にすることって、最近では滅多にありませんよね。

 陽が傾き始め、止まっていた風がさ〜っと吹き始めたころ、僕は草取りの手を止めて墓石に水をかけました。墓石の表面ですぐに蒸発して姿を隠す水。そしてすぐに形を消してしまう線香の煙。目を細めて行く先を追いかけても捕まえることはできません。ただ青空が広がっているだけ。お盆は少し遠くを見つめる日なのかも知れませんね。数年前、「ニホンモ ツヨク ナリマシタ ネ」とサッカー談義を交わしたイタリア人の神父も、今は10m先に静かに眠っています。
 
 僕は図書館から借りてきた「ヘミングウェイ キューバの日々/晶文社」を読みながら盆を過ごしています。上下2段組のびっしり詰まった小さな文字で500ページ近くもある大作です。今の僕の力では2〜3日内に読み終えることはできないでしょう。読むスピードが遅くなったものです。けっしてダイキリやハイボールを飲みながら、ちんたら読んでいるわけではないのですが。

 遠くを見つめる回数が増えてくると、近くの文字が見えにくくなるのでしょうね人間は、きっと。
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by hosokawatry | 2007-08-16 13:44 | やさしく歌って・自由日記


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