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足下の静寂

a0071722_17471455.jpg 外周が2キロメートルの大濠公園は、福岡市におけるジョギングのメッカといえるかもしれません。傾いた西日を受けながらゆっくりと自分のペースで走る市民の姿が目に入ります。大濠高校の野球部員が大濠公園から道を隔てた自分の高校の方に帰っていきます。

 公園内に黄色い愛嬌をふりまいてくれた「ひまわりプロジェクト」の花も枯れ、21日に採種されました。遅れながらも季節は約束をひとつ果たしたのです。ボートハウスの先から橋を渡り、中央の島に向かうと韓国の修学旅行(?)の少女たちがはしゃぎながらデジカメ撮影。アダチ宣伝社の人かな? チンドン流サックスの練習の音。そしてルアーを振る少年たちの声。

 日本庭園は大濠公園内の福岡市美術館南側にあります。大濠公園の開設50年を記念して作られた築山林泉式回遊庭園だそうです。僕には庭園の様式など全くわかりませんが、静かだし心が落ち着くので大好きです。庭内には数奇屋造りの茶室などがあり、ずいぶん昔に素麺のイメージ撮影でこの苔むす庭をお借りしたことがあったな〜と、懐かしくなりました。

 郊外の紅葉観賞に多くの時間をさけない人は、この日本庭園がいいのでは。カエデ類の木があるので奇麗かもしれません。都心部の足下で240円払えば静寂が楽しめるというわけ。すごく贅沢でしょ。僕はちゃっかり先日の「緑化…記念?」で無料の日に利用させてもらいました、へへっ。
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by hosokawatry | 2007-10-28 17:50 | やさしく歌って・自由日記

幽玄な世界に触れる夜

a0071722_16412669.jpg 博多灯明ウォッチングと御供所ライトアップウォークを体験しようということで、20日の日暮れ前に博多リバレインにスタンバイ。博多区長さんなどの点火式に風が強くて灯明に火を灯すことができなくて大苦戦。博多出身の少年デュオ「ピース」が歌とギターでもり立てていたのが印象的でした。

 灯明の優しいあかりが灯る中、御供所町のお寺に移動開始。僕が社会人になって初めて独身寮を経験した場所の近くに「聖福寺(800年以上前に建立された禅寺)」があり、懐かしく訪れました。昔、若い頃、「わび・さび」を理解できるはずもなく、枯れ果てたイメージが残る聖福寺には興味を引かれることもありませんでしたが、今夜は違いました。

 薪の燃え盛るあかりに照らし出された聖福寺仏殿前で、思わぬ幽玄な世界に引込まれてしまったのです。男の子たちが奏でる囃子の前で、凛とした表情の女の子(写真の子…小学校4〜5年生? とってもかわいいでしょ)が優雅な舞(なんと一人で!)をみせる博多松囃子稚児舞(無形民俗文化財)。

 天冠・舞衣の少女が静かに正確に舞っている間、僕は夢中でデジカメのシャッターを押し続けました。途中デジカメのバッテリーが切れてしまい、威厳さえ感じさせる少女の舞の前で、ドタバタと慌てている大人の僕。まあ、かなり情けない構図だったけど、満足させてもらったので◎。稚児東流の子たちに感謝です。今年行けなかった人は、来年ぜひ!
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by hosokawatry | 2007-10-21 16:44 | やさしく歌って・自由日記

ブログ小説「あの蒼い夏に」が文芸サイトにも

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 ブログ小説「あの蒼い夏に」〜チラシ作りの青春〜は、けっこう頑張って描いているので、少しでも多くの人に読んでもらえたらいいな、とは思っていたのですが、ついに「マチ と もの語り」という文芸サイトに連載してもらえることになりました。いや、もう掲載されています。13日には第2話の更新が済んでいます。よければ、この文芸サイトにも顔を出してください。面白い作品に出会えるかもしれません。
 僕はこれより河村衆矢という名前も持てるようになりました。ふふっ、怪人2面相です。

 「マチ と もの語り」とは?  ※以下サイトより抜粋コピー

『作品のテーマは特に限定していません。小説(フィクション)、評伝(ノンフィクション)、記録(ドキュメント)と幅広く募集しています。
※「マチ と もの語り」のコンセプトは、「あなたのマチにはもの語りがありますか?」を参照してください。
※特に「もの語り」の舞台として、ある時代、実在のマチ(建物、店、橋、道)、自然(川、海、山)を特定して描写することを推奨しています。というのは、それによって作品はその地域の「もの語り」となると考えるからです。
※忘れられない、忘れてはいけない、語り伝えたい実在の人物や出来事をモデルとした小説(フィクション)、評伝(ノンフィクション)、記録(ドキュメント)は特に大歓迎です。』

ということです。

 自分が歩んできた道が「とても面白かった」と思っているということが一番なんですが、どうしてもあの頃の純粋な若者達の心を記録しておきたくて、描き始めたのです。博多が舞台で、けっこう物語の中ではその地域性も重要な要素となっていますので「マチ と もの語り」のコンセプトにマッチしていますね。

 「連載」=「追い立てられる」です。のんびり出来なくなりますね。すこし不安です、根がずぼらなだけに…。
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by hosokawatry | 2007-10-14 18:21 | やさしく歌って・自由日記

あの蒼い夏に 〜チラシづくりの青春・17〜


 
                    17


 僕は屋台から洩れている弱いオレンジ色の光の中にいた。屋台の中からはプロ野球中継のよく聞き取れないアナウンスが聞こえる。コップの水を飲み干し、腕時計の文字盤に目を落とした。午後8時30分になろうとしている。不意のアザミ爆弾は落ち込んでいた心を瞬間的に救ってくれた。しかし問題が解決した訳ではなく、浮かない表情に変わりはない。立ち上がって首をまわし、周りの風景にかすみの存在を探ったが見いだせなかった。
 テーブルの端に乗った中央が少し凹んだフランスパンの紙袋が目に入った。このところ写植間違いが続いている佐里君の顔が無意識に蘇る。佐里君が打ってくれた「フランスパンフェア」のタイトル文字がネオンサインのように、脳内スクリーンを点滅しながら消えていく。

 そして、やっぱりかすみはこの場所にいない。

 不可抗力だとはいえ、30分の遅刻がこんな事態を招いたのだ。ブラジレイロの店内の様子が浮かび上がってくる。僕は満身の憎悪を振り向けて自分を責めた。屋台の簡易テーブルの前で、形の無い何かに押しつぶされようとしている。苦しかった。今はため息をごまかす煙が必要だ。胸ポケットのセブンスターに手を伸ばそうとしたその時、小さな圧力が僕の両目にかかった。

 僕は再び背後から視界を遮られた。しかし今度はずっと小さな両手で。

「アザミよ、ア・ザ・ミ」と小さな手の持ち主は精一杯の低音でゆっくりと発音した。僕は瞬間的に理解に達し、笑いを噛み殺した。僕は心臓から送り出される血流が速くなるのを感じながら、こめかみから全身に広がっていく温かさを楽しんだ。安堵感が全身から緊張の神経を抜き取っていく。そっと両手を振り解いた。アザミさんよりずいぶん温かくて小さな手だ。僕は腰掛けたまま後ろを振り向いた。

 赤いTシャツとブリーチアウトジーンズのかすみがちょこんと立っていた。ベージュの雑材バッグをたすきがけのように、肩から斜めに掛けている。僕と視線を交わしたかすみの表情はこわばっていた。かすみは笑顔を無理に作ろうとしたのがいけなかったのか、失敗して表情が一気に壊れた。感情のダムが決壊してしまったのだ。僕を見つめる瞳を濡らし、大粒の涙がどっと流れだした。
 僕は少し狼狽しながらも反射的に立ち上がり、「ごめん」と言って肩を抱き、背もたれの無い丸椅子に座らせた。いつもは陽気なかすみだけに、これまでに見せたことのないないぎこちなさと溢れる涙の量に驚いた。今日、僕と会えるまで健気に頑張っていたのだ、かすみは。そういえば僕だって、ずいぶん縮んでいたし、妙に心細かった。僕はもう一度「ごめん」と声をかけ、吸おうと思って出していたセブンスターを一本引き抜いて火をつけた。

 途方に暮れていた時間の切なさを、煙と一緒に冷泉公園方向の空に吐き出した。僕はタバコに感謝した。

「ビールでいいかい?」と訊ねると「ぐすん」と首を縦に振った。
「焼き鳥は? 豚バラとか鶏さんでいい?」と僕は訊ねた。
かすみは「うん、うん」と2回頷き、少し笑顔が戻った。
「最後はとんこつラーメンだよね?」と確認すると、かすみの表情に満月が宿った。
 保護色を求めるカメレオンのように、食べ物につられて簡単に表情が変わって行くかすみの様子が可愛かった。そして、僕も救われた。
 僕は屋台の勝手口から晴照の奥さんにそれらを注文した。

 かすみは7時20分にブラジレイロに到着した。とても混んでいて2階奥の席しか空いていなかった。ブレンドコーヒーを注文し、僕が来るまでと、宮沢賢治の文庫本を読み始めた。約束の7時半を過ぎても、仕方ないわねと本を読み続けた。途中8時前に注文の多い料理店のところでトイレに行った。少し心配になったがきっと大丈夫よと、また本の続きを読みはじめた。さすがに8時15分になると落ち着かなくなり、小さい自分の姿を見落とされたんじゃないかと席を立って店内を回り始めたところ、店の人に呼び止められた。かすみは名前を確認されると名刺を一枚渡された、と、ビールを飲みながら僕に話した。「まあ結局、こうして最後は私が望むように、神様はサイコロを振り間違えてくれたけど」と口を尖らせた。最後に「とても、長かったけど」と付け足した。

「ところで、アザミさんって誰?」と、焼き上がった豚バラ串を手に持ちながらかすみが訊ねた。
「えっ」
 僕はその瞬間、嫌な予感に支配された。「アザミよ、ア・ザ・ミ」で始まった今夜のかすみとの時間。アザミさんとのことは黙ってやり過ごす予定だったが、無理矢理引き戻されてしまった。かすみはしっかり気に留めていたのだ。
「やっぱり河村クンでしょ、とか言ってた身体の大きい人」
「え〜、聞いてたの?」と、僕はばつが悪そうに人指し指の背で鼻をこすった。
「慌てて、屋台に来てみたら、河村クンが女の姿をした男の人と話しているし、おまけにその男の人に触られて、遊びにきなさいとか、元気だしなさいとか言われていたし」とかすみは早口で喋った。「私が今日楽しみにしていたデートの相手が、そんな趣味の人だったとはね〜」
「……」
「新幹線とか駅をどうするとか、よく聞こえなかったけど」と、かすみは言った。
「うっ、うん」と、僕は焦った。「ほんとうに僕だって、よく解らない話なんだけど…」どうしてこんなに短い時間の間に、男性と女性の両方から攻められなくてはならないのだろうか。
「河村クンのこと本当に信じていたし。これまで、そんなこと一度だって話してくれなかったし」
「………」
「私、ショックだったわ。こんなに悲しくなったの久しぶり、こんなに涙が出たのも」
「えっ、さっき泣いたのは?」
 裏切られたようで悲しかったと、涙の理由を聞いて僕は唖然とした。逢えない苦しみと憔悴感から解放された歓びに泣いたのではなかったのだ。女性はやっぱり難しい。
「そりゃ、男の人が男の人を好きになっちゃいけないなんて、そんなこと言うつもりはないし、誰にだってそんな権利はないと思うけど、でも付き合っている相手に黙っているなんて最低よね。だめだよ、そんなの」

 僕は懸命にかすみの誤解を解こうと頑張った。付き合いのある印刷屋さんの営業担当が「アナザー・ウェイ」というオカマバーに2度ほど連れて行ってくれたこと。けっして、そちらの趣味は絶対にないということ。もちろん、アザミさんとは何もあるはずがないということ。こういったことは、会社の付き合いの中でよくあることで、普通はあまり喋る必要のないことなのだ、と僕は自己弁護した。かすみは結局、僕の必死の説明を鶏の砂ずりと一緒に飲み込んでくれて、納得してくれた。僕は違う種類の汗をかき、深呼吸ではない大きなため息をついた。その大変さはTVの値段間違いの理由を野瀬課長に報告することと変わらなかった。

 二人連れが綺麗な標準語でお礼を言いながら屋台から出てきた。
「衆ちゃん、入ってこんね」と晴照の大将が顔を出して手招きした。

「こげなべっぴんさんば連れて来るとやったら、言うてくれとったら空けとっちゃるとに」
 大将はかすみを見ながらニヤニヤした。かすみは素直にニコニコと笑顔を返して座った。
  
 僕はおでんを注文した。こんにゃくを噛みしめ、巾着餅に口の中をやけどしそうになった。かすみは辛子明太子を卵で巻いた「めんたま」を頼んで、楽しそうに箸で壊しては口に運んだ。「ふ〜ん、河村クン達はいつもこんなもの食べてんだ」と興味深そうに、「あぶってかも」をつつく僕の皿を眺めた。
「彼女はこげなスズメダイやら、見たことなかったろう? こん魚は博多じゃ『あぶってかも』と言うとやけど、ばってん、スーパーとかじゃ売りよらんしね」と、大将は言った後、焼酎がこの「あぶってかも」には最適だと教えてくれた。僕は芋焼酎をロックで頼んだ。かすみは臭いお酒ねと芋焼酎をやめて、日本酒を注文した。

 「あんた達は強かバイ」と大将が驚く間にも、二人にはアルコールが確実に沁み続けている。
 話が男らしさに移った。僕は男の夏はしっかりと日焼けして逞しさを感じさせる方が素敵だと言ったら、かすみはそうでもないと言った。浅黒くてマッチョなだけの男はごめんだわ、と言った。大将がその言葉に反応した。
「そうゆうたら、今日8時過ぎだったろぅ、色の白い男ん子が黙って屋台の中ば覗いて行きよったけど、あげん顔の白かったらいかんバイね、男なら」
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by hosokawatry | 2007-10-08 18:21 | ブログ小説・あの蒼い夏に

タバコの吸い殻を拾う青年

a0071722_16686.jpg 僕の住むマンションは小学校の目の前です。土曜日のグラウンドには本部席用のテントが張られたり、翌日の運動会への準備がきちんとなされていました。夏日が続く中、子供達は運動会の練習など、大変だったと思います。日曜日の早朝、開けていた窓からは子供の甲高い声と親の声、そして校門に集まってくるたくさんの靴の音で目が覚めました。

 用事があって、午前9時50分ころ、小学校の裏門の近くに車を止めて眺めていたら、生徒の父親や祖父がぽつぽつと校門内から現れ始めました。それぞれ、すぐにポケットから、ポーチからタバコの箱を取り出して慌ただしくタバコを吸い始めました。きっと、学校内が禁煙になっているからでしょう。

 タバコの吸い殻をどうするのか、興味が湧いてきたので見ていると、まず60代半ばの男性が道路の端の下水道の格子状の鉄ワクの中に投げ捨てました。続いて50代とおぼしき親父さんが周りを多少は気にして同じところにポイ捨て。歩道のガードレールには、近所の迷惑になるので駐車禁止と先生達がつくった看板がある前で、ぽい、ぽいと捨てられるタバコの吸い殻。

 30代の若い数人の父親は、携帯灰皿を取り出して吸っていました。だらしなかったのは、人生の経験をたくさん積んでいるはずの高齢者でした。「あなたたち、そこはタバコの吸い殻を捨てるところじゃないでしょーが、いい加減にしてくださいよ!」とのどまで出かかりましたが、言えませんでした。弱い自分がとても情けなかったですね。そこに静かに登場したのが、ゴミばさみと袋を下げて、吸い殻やゴミを拾って回る青年。12月にオープンするフィットネスクラブの従業員による地域貢献活動です。情けない情景の中なので、企業方針でしょうが、そのシーンはかなり感動ものでした。

 それでも、その青年を見ないふりしてぽい、ぽい、ぽい。もう、どうなってるんだろーね、大人達は。こんなこと、ブログに書きたくないですよね、まったく。
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by hosokawatry | 2007-10-01 01:09 | やさしく歌って・自由日記