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落日

a0071722_19192996.jpg 清少納言に言わすと、春は曙らしいのですが、春の夕暮れ時もけっこう良いものです。土曜の夕方、秋の夕暮れみたいに澄んだ感じはないですが、ふわっと優しい気持ち良さがあります。アングラーが逆光の中で、シーバスを狙っていました。50センチを超えるシーバスが3尾釣れていたようです。小戸公園の海も馬鹿には出来ませんね。

 先日はあの自己顕示欲の強い私立探偵スペンサーが活躍するシリーズで有名な、ロバート・B・パーカーが亡くなりました。最近はあまり読んでなかったけど、最初の頃の「初秋」はしみじみとしていて、とても良かったと思います。マッチョな探偵と少年が繰り広げるハードボイルド小説でした。

 有名な「長距離走者の孤独」を書いた作家アラン・シリトーも亡くなりました。パン屋に盗みに入り、失敗、少年院(?)送りに。走る才能を見いだされ、少年院(院長)の名誉の為に走る少年の話です。院長の「誠実」の裏に潜む「偽善」を感じた少年は、競技大会をトップで駆けてきたものの、ゴール前でわざと後から来る走者に抜かれてしまいます。

 今年の一月には「ライ麦畑でつかまえて」のサリンジャーがこの世から旅立ちました。3人ともみんな、少年を題材にした僕の好きな素敵な小説を書いてくれた作家なので、とても残念です。巨匠の運命も落ちていく夕日のように、大きくなった後は必ず沈んでいくのですね。僕は軽いし大きく成れないから絶対に大丈夫。安心です。
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by hosokawatry | 2010-04-26 19:23 | やさしく歌って・自由日記

あたたかい夕暮れ

a0071722_16532099.jpg この1ヶ月間、仕事に全精力を注ぎ込んでいたら、いつの間にか桜の季節が通り過ぎてしまおうとしていました。こんなに桜の花を眺めなかった年はありません。土曜の夕方、愛宕神社が誘っているような気がして、散髪の後に出かけてみました。神社の丘陵を見上げると、まだピンクの色が残っています。

 今年は(も?)桜の開花が早く、散ってしまうのも早いかと思ったら、ほんの少しですが残っていたので救われました。緑の葉には優勢負けしていますが、3分くらいは桜色が残っています。313段の階段を、ふーふー言いながら登段し、頂上の神社からももちを見下ろせば、高い湿度に福岡タワーやヤフードームの足下が靄っています。

 「わたしゃ、福岡生まれじゃけど、こんな景色は初めてやね」と、60過ぎのお母さんの声が聞こえました。ももちのビル群を指差しています。息子夫婦のお嫁さんの方が「お母さん、ずっと忙しかったから」と、ねぎらいの言葉を返しています。僕は風のない神社の境内で、空に向かって久しぶりに両手を大きく伸ばしてみました。春の夕暮れが「よう頑張ったな」と僕の方を向いて優しく微笑んでいます。「しかし、ブログや小説を疎かにしちゃイカン!」の声も聞こえたような。

 山腹の桜の木の横に、桜祭りのための照明に灯がともっています。神様は遅れてきた旅人に、最期の色香を楽しませてくれました。僕は帰りに、唐津街道近くの老舗「魚嘉(うおか)かまぼこ」に寄り、美味しい丸天でも買おうと、開いている引き戸の玄関をくぐりました。「魚嘉」は厚生大臣賞受賞したことのある、こじんまりした古い家屋のお店です。いらっしゃいと、店の若奥さんらしい優しい声が聞こえてきました。
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by hosokawatry | 2010-04-11 12:55 | やさしく歌って・自由日記